聖厳法師108自在語(第二集)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自在な人生

1. 目上は尊重し、目下には謙虚に。これ、菩薩の道の行者が学ぶべき重要な課題なり。
2. 競争せず奉献し、福を享受せず惜しむべし。
3. 己を愛し、人を愛し、全ての衆生を愛すべし。己を救い、人を救い、全ての衆生を救うべし。
4. 利他とは果報や見返りを求めぬ清浄心なり。
5. 占有と奉献はともに愛なり。ただ、自利と他利の違いあり。占有とは自ら貪る私的な愛、奉献とは我を無くし喜捨する大いなる愛なり。
6. 道理とは自己に求めるためのものなり。他人を責めるためのものにあらず。
7. 先ず他人の踏み台となる度量をもち、先ず他人の願いを成就させるべし。これこそ、この世の菩薩たり。
8. 人に誤解を生じさせたるは、即ち、己の非なり。
9. 物事をなす時は、よく他人の立場を考えるべし。過ちを犯したる時は、よく自己を省みるべし。
10. 相手に譲って自我を成就し、相手を尊重して敵意を解消し、相手を賞賛して調和を増進させるべし。
11. 自己への執着に智慧なし。他人への確執に慈悲なし。
12. 人と会う時、「祝福します」の一声で、友情も平穏も同時に得ることができる。
13. 人に友誼を示し、助けの手を差し伸べることこそ、楽しく平和な光を放つことなり。
14. 無駄口を減らし、是非を問うを減らすべし。誠実を増やし、平安を増やすべし。
15. 己の長所を認めるは自信なり。自己の短所を知るは成長なり。他人の立場を思いやるは尊重なり。
16. 衆生の幸福を取り上げ、自我の成就を顧みぬべきなり。
17. 部下と仕事をするに当っては、思いやりを以って叱責に替え、励ましを以って指導に替え、相談を以って命令に替えるべし。
18. 強き者、人を傷つけ己を利せず。柔軟な者、衆に和し、必ず自ら安んず。
19. 人を安心させる者は必ず衆に和する者なり。人を従わせる者は必ず柔軟な者なり。和は能く衆と調和し、柔は能く剛に勝つ故なり。
20. 生命の意義は絶え間ない学習と奉献の中にあり、他人を成就させることはまた、自己を成長させることなり。
21. 智慧有り、身分をわきまえる者は、人と無駄口を利かず。
22. 穏やかに人と付き合えば、日々平穏に過ごせたり。
23. 聡明な人、智慧ありと限らず。愚鈍な人、智慧なしと限らず。智慧は知識に等しからず。智慧とは人に相対し、事をなす態度なり。
24. 他人の煩悩を減らすのは慈悲なり。自己の煩悩を減らすのは智慧なり。
25. 自分の靴を他人に履かせるべからず。他人の問題を自己の問題にするべからず。
26. 衆人の苦難の世話に勤むは大きな福報なり。皆の問題の処理を楽しむは大きな智慧なり。
27. 世の現象すべてが無常だという事実を見極めさえすれば、内心世界の真の平安が完成できる。
28. 人に会って恩を結び怨を結ばなければ、必ずうまく付き合え、生活は楽しくなるべし。
29. 一つの笑顔と一つの良き言葉は、ともに良き縁を広く結ぶ大きな布施なり。
30. 無意味な情緒に惑わされなければ、己が生み出す不必要な煩悩を減らす事が出来る。
31. 奉献は恩に報いる為なり。懺悔は己を律する為なり。
32. 凡そ、力の限り他人を利し、自己を成長させる人こそが真の成功者なり。
33. 人として事を処するに、「内に角あり」「外に丸し」たるべし。「内に角あり」は原則なり。「外に丸し」は道理に通ずることなり。
34. 私達は他人を助ける力が無いと気づいた時、少なくとも他人を傷つける事を止める事が出来る。
35. 口徳を多く積み、言い過ちを少なくすることこそ、福を培い福を求める大きな功徳なり。

簡単な生活

36. 人生に必要なのは調和の中に発展を求め、努力の中にその望みを見出すことなり。
37. 勝ち負けや損得を気にせず、時に及んで努力する精進心を多くすれば、成功の機会は自ずから高まるべし。
38. 家庭の温かみは互いに敬い愛し合うことにあり。家庭の有り難みは互いに助け、許しあうことにあり。
39. 経営者たる者、損得心を少なくし、万事、真心と信用を常に心に留めおけば、勝算を得るべし。
40. 悪口を耳にしたら、まず心を静めて己を省み、誤りあればこれを改め、なければこれに勉めるべし。心落ち着かず慌てるならば、悪口の殺傷力は更に大なるべし。
41. 内心の苦難は、私達の智慧を増長させ、生活の苦難は、私達の福報を増進させる。
42. 「生命」に対しては無限の希望で満たすべし。「死」に対しては常に往生の準備をするべし。
43. 自己の「必要」をよく知り、個人の「欲求」を解消すべし。
44. 何事も正面から読み解き、遡って思考すべし。
45. 失敗してはまた努力し、成功しては更に努力する。これ、業に安んじ業に楽しむ原則なり。
46. 環境保護の最も重要な観念は「質素」である。少しでも質素な生活を送れれば、それが生活環境の保護である。
47. 事をわきまえた人は過去を気にせず、聡明な人は今を疑わず、闊達な人は未来を憂えず。
48. 順境・逆境はともに因縁を増すなり。平常心と感謝の心で相対すべし。
49. 過去、未来、地位、名誉、肩書きは、すべて自己と無関係と見做すべし。ただ、積極的に過ごし、楽しく生きることを求めることこそ、幸福で自在な人生なり。
50. 学歴は身分を表さず、能力は人格を表さず、地位は品徳を表さず。仕事に貴賎なく、観念と行為こそがすべてを決定するなり。
51. 不愉快な気分を解消する方法は、誠意を持ち、主体性を持ち、明るく振舞うこと。躊躇し、受身にならないこと。
52. 世事をなすに、一つとして困難なきことなし。ただ自信と根気を持って取り組めば、少なくともいくつかの成果を上げ得るべし。
53. 今を生き、過去を悔やまず、未来を憂えず。
54. ストレス軽減に良い方法は、損得心を抑え、賞讃の心を多く持つことなり。
55. 過去は恨まず、後悔せず、未来は積極的に準備し、現在は一歩一歩着実に歩むべし。
56. 恩はただ口にするのみならず、必ず恩に報いる力に変えるべし。
57. 何事も、先ず焦らず、適切な人を探し、正しい方法を用い、適切な時機を見れば、無事に難関を突破できる。
58. 自己の利害や損得を捨ててこそ、天地万物に通ずる智慧を得られるべし。
59. 病気は医者に、運命は菩薩に任せれば、自らは問題の無い健康な人になれる。
60. 人は往々にして己が分からず、不要な悩みを齎すものなり。
61. 人生で一番の大事は、人となりを学ぶことなり。即ち、心を尽くし、力を尽くし、責任を果たし、分をわきまえることなり。
62. 私事を処理するに「情」を用いるも可なり。公事を処理するに「理」を用いるべきなり。
63. 得られるべくもない物を争うよりも、自ら持つ物をいと惜しみ運用すべし。
64. 過去、未来、そしてあらゆる一切の良し悪しに拘らず、現在の自分にのみ拘るがよし。
65. 人がもし本当に一切を捨てることが出来れば、一切を包み込むことができる。更に一切を手に入れることが出来る。
66. 持ち上げることができるのは方法であり、力を出す始まりである。手放すことができるのは再び持ち上げるためである。進歩とは持ち上げることと手放すことの間で一歩一歩上昇するものである。
67. 他人と自分を比べるなかれ。必要なのは己の心と力を尽すことなり。
68. 我々の環境は良すぎたことも悪すぎたこともない。要は、我々がどのように見るかである。
69. 災難の後は、正面から考える契機である。人は災難の中から多くの教訓を得ることができるからである。
70. ただ何も欲しがらず、何にも執着しなければ、自己の尊厳を他人はどうすることも出来ない。
71. もし一つ一つの因縁をいと惜しむことが出来れば、一つ一つが唯一無二になる。
72. 全てに首を突っ込めば問題が生じ、面倒になる。主観的な自我の損得を取り除けば、解脱できる。
73. 人の快楽は、名利の大きさや多さから来るものではなく、内心が足るを知り、欲を少なくすることから来るものなり。
74. 有言実行。真心を込め真実を語り、好意を持って良い事を言う。これこそ立言なり。
75. 普通の人といえども、責任感を持ち、執着心を手放すべきなり。
76. 忙しい時、やむを得ぬと思うべからず。暇な時、つまらなぬと思うべからず。然れば、成り行きに流され、茫然と、成すべきを分からぬことなし。
77. 順風満帆にして、有頂天になるべからず。苦境に陥るとも、落胆し志を失うべからず。
78. 心の度量小さく、貪るを厭わざるならば、生活は裕福といえども、猶、楽しく幸せなることなし。

心の成長

79. 人生は、平淡の中に進歩を求め、苦難の中にその輝きを見いだすべし。
80. 人生は、安定の中に満ち足りた豊富さを求め、鍛錬の中に荘厳さを見いだすべきなり。
81. 落ち着いた気持ちを持てば、不敗の地の礎に立つことができる。
82. 心、周りに振り乱されぬは、禅の定める技量なり。心、周りから離れぬは、智慧の作用なり。
83. 後退を以って前進し、沈黙を以って弁論し、他人に尽すことを以って自己を成就する最良の方法とすべし。
84. 仏は心に、仏は口に、仏は我らが日々の生活中に居り。
85. 慈悲とは理智ある感情なり。智慧とは弾力に富む理智なり。
86. 東西南北、皆悪からず。衣食住に非道無し。心に常に真の慚愧心を抱けば、懺悔報恩により品格最高となる。
87. 修行者は私心なく誠意を示し、心から誠実に向き合い、邪念悪念を持たぬ事、これ、いわゆる「直心は修行の場」なり。
88. 煩悩が眼前にある時はこれと戦わず、慚愧心、懺悔の心、恩に感謝する心を持って、煩悩を打ち消すべし。
89. 現実に即して生命を体験することこそ、禅の修業なり。
90. 心身の健康こそ、生きる上で最大の財産なり。
91. 呼吸は財産、生きていれば希望あり。
92. 心に「わだかまり」ある時こそ、己の心の動きが最も良く見える時なり。
93. 悩みにぶつかった時こそ、己が呼吸している感覚を最も良く享受できる時なり。
94. 心に障害がある時は、目の中の世界が全てゆがんで見える。心に悩みがない時は、目の前の世界が全てすばらしく見える。
95. 心が明るくないのは苦しみで、気持ちが闊達としていれば苦しみを楽しみに変えることが出来る。
96. 生者必滅は世の常なり。それを洞察できるのは、すなわち智者なり。
97. 自己の考え転ずれば、運命もまた、好転す。
98. 智恵はただ経典に精通するだけでなく、煩悩を転化させる巧みな方法である。
99. 煩悩は菩提なり、煩悩無きにあらず。煩悩ありといえども、それを煩悩とせぬなり。
100. 心が穏やかでさえあれば、生活を楽しく過ごせる。
101. 怒りに直面して「反観自照」を学ぶべし。つまり、己の心に照らし、己が何故怒りたるかを問うべし。
102. 心配すれば何事か起こり、安心すれば何事もなし。
103. 自我を肯定し、自我を向上し、自我を昇華させる。これ、「自我」から「無我」に至る三つの修行の段階なり。
104. 善因の育成を重視すべし。素晴らしき結果のみ、期待すべからず。
105. 己が智慧足りぬと気づきたる時、智慧見えずといえども、すでに増したり。
106. 心は壁の如くあるべし。動かずといえども、確かに作用あり。
107. 塵なき反射鏡となるならば、あらゆる物を見据え、何物をも触れるなかれ。
108. 皆が盲目に争いたる時は、別の道を選んで進むべし。

 

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